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レンジトレード

レンジトレードは、東京時間の USD/JPY で発生しやすい横ばい相場を、水平線、ボリンジャーバンド、%B、RSI を使って機械的に売買する戦略です。レンジ上限では売り、下限では買い、中央線または反対側で利確します。レンジ外に終値が定着したら逆張りをやめて撤退します。主な対象は東京時間の 10:00〜15:00 JST で、米欧の重要指標前でなく、USD/JPY が明確な高値と安値の箱に収まっている場面です。

定義

レンジ相場とは、価格が明確なサポートとレジスタンスの間を往復し、上位足の方向感が弱い状態を指します。 レンジトレードは、上限突破や下限割れを狙う戦略ではありません。端で反転を取り、中央または反対側で降りる逆張り戦略です。

USD/JPY では 1 pip = 0.01 円です。たとえば 150.00 から 150.20 は 20 pips の値幅になります。

レンジ判定

水平線

レンジは、最初に水平線で定義します。

  • レジスタンス:直近高値が 2 回以上止められた価格帯
  • サポート:直近安値が 2 回以上止められた価格帯
  • 有効なレンジ幅:予定損切り幅の 2.5 倍以上
  • USD/JPY の東京時間では、10 pips 未満の箱は狭すぎる。スプレッド、滑り、ノイズに負けやすい
  • 00、50、前日高値/安値、東京時間高値/安値は意識されやすい

水平線は一本の価格ではなく、数 pips の帯として扱います。USD/JPY なら 149.98〜150.02 のような丸め方が実践的です。水準の引き方はサポートとレジスタンスを参照してください。

ボリンジャーバンド

標準設定は 20SMA ± 2σ です。

Middlet=SMAt(20)\text{Middle}_t = SMA_t(20) Uppert=Middlet+2σt\text{Upper}_t = \text{Middle}_t + 2\sigma_t Lowert=Middlet2σt\text{Lower}_t = \text{Middle}_t - 2\sigma_t

レンジ判定では、次を満たすほど信頼度が上がります。

  • 中央線が横ばい
  • 上下バンドが平行に近い
  • 終値がバンド内に戻る動きを繰り返す
  • バンド幅が直近 20〜60 本の中で低位
  • ローソク足が上限、下限に到達しても、終値では内側に戻る

バンドタッチ単体では売買しません。ボリンジャー公式のルールでも、バンドへの接触はシグナルそのものではないとされています。詳細はボリンジャーバンドを参照してください。

%B

%B は、終値がボリンジャーバンド内のどこにいるかを表します。

%Bt=ClosetLowertUppertLowert\%B_t = \frac{Close_t - Lower_t}{Upper_t - Lower_t}

目安は次のとおりです。

%B解釈
1.0上バンド付近
0.5中央線付近
0.0下バンド付近
> 1.0上バンド外
< 0.0下バンド外

レンジ逆張りでは、%B >= 0.9 で売り候補、%B <= 0.1 で買い候補にします。 ただし、%B > 1.0%B < 0.0 が連続する場合は、反転ではなくブレイク継続を疑います。

RSI

標準設定は RSI(14) です。

  • RSI >= 70:買われすぎ。レンジ上限なら売り候補
  • RSI <= 30:売られすぎ。レンジ下限なら買い候補
  • RSI 50 付近:中立。新規エントリーには弱い
  • トレンド中は RSI が 70 以上、または 30 以下に張り付くため、単体で逆張りしない

レンジでは RSI 70/30 が機能しやすく、トレンドでは機能しにくくなります。この違いを無視すると、強いブレイクを逆張りで受け止めることになります。RSI の詳細は RSI(相対力指数)を参照してください。

ADX フィルタ

レンジ判定の補助として ADX(14) を使います。

  • ADX < 20:トレンドが弱く、レンジ戦略を検討できる
  • ADX 20-25:トレンド発生前の移行帯。逆張りを軽くする
  • ADX > 25:トレンド戦略を優先する。レンジ逆張りは停止する

ADX は方向を示しません。上昇トレンドでも下降トレンドでも上がります。レンジかトレンドかを切り分ける補助として使います。詳細は ADX/DMIを参照してください。

時間帯 (JST)

FX は中央取引所がないため、時間帯は厳密な開閉ではなく主要金融センターの活動時間として扱います。

時間帯方針
07:00-08:30流動性が薄い。前日NYの残りや週明けギャップを確認する時間
08:30-09:55東京実需と仲値フローを警戒する。特にゴトー日は USD/JPY が一方向に寄りやすい
10:00-11:30東京前場後半。仲値後に値動きが落ち着けばレンジ逆張りの主戦場
12:30-15:00東京後場。材料がなければ往復しやすいが値幅は細りやすい
15:00-16:00東京引け前後。ポジション調整でレンジ端を抜くことがある
16:00-17:00ロンドン勢の参加を警戒する。夏時間は 16:00 JST、冬時間は 17:00 JST を目安にする
21:30/22:30米指標の時刻。米夏時間は 21:30 JST、米冬時間は 22:30 JST が多い。逆張りを避ける

東京証券取引所の現物株は 09:00-11:3012:30-15:30 が通常取引時間であり、東京時間の国内フローを見るうえで参考になります。 USD/JPY は東京仲値 09:55 前後で実需フローが出やすくなります。ゴトー日、つまり 5・10 日に関係する営業日は特に注意します。

エントリー

買い

次をすべて満たすときだけ買います。

  1. 価格がレンジ下限、または下側ボリンジャーバンドに到達する
  2. %B <= 0.1、または一時的に %B < 0.0 になった後にバンド内へ戻る
  3. RSI <= 30 から上向きに反転する
  4. M5 または M15 の終値がサポート内側に戻る
  5. 損切り位置を置いても、中央線までの期待値が損切り幅の 1.2 倍以上ある

買いは「下限到達」ではなく「下限から内側へ戻った事実」で入ります。

売り

次をすべて満たすときだけ売ります。

  1. 価格がレンジ上限、または上側ボリンジャーバンドに到達する
  2. %B >= 0.9、または一時的に %B > 1.0 になった後にバンド内へ戻る
  3. RSI >= 70 から下向きに反転する
  4. M5 または M15 の終値がレジスタンス内側に戻る
  5. 損切り位置を置いても、中央線までの期待値が損切り幅の 1.2 倍以上ある

売りは「上限到達」ではなく「上限から内側へ戻った事実」で入ります。

利確

利確は分割します。

  • 第1利確:ボリンジャーバンド中央線、またはレンジ中央
  • 第2利確:反対側の水平線手前
  • 反対側まで届かず中央線で失速したら撤退する
  • 東京時間の値幅が細い日は、中央線利確だけで十分とする
  • ロンドン入り前に含み益があるなら、全部または大半を閉じる

レンジトレードでは、天井から底まで完全に取ろうとしません。中央線で利確できないポジションは、すでに優位性が弱いといえます。

損切り

損切りは必ずレンジ外に置きます。

買いの場合は次のとおりです。

Stop=SupportBufferStop = Support - Buffer

売りの場合は次のとおりです。

Stop=Resistance+BufferStop = Resistance + Buffer

Buffer は次の大きい方を使います。

  • 5-10 pips
  • ATR(14, M15) × 0.2
  • 直近スイングの外側

損切りをレンジ内に置くと、通常の往復ノイズで刈られやすくなります。 損切りを遠く置きすぎると、レンジ戦略のリスクリワードが崩れます。予定損切り幅がレンジ幅の半分を超えるなら、そのレンジは取引しません。損切り幅の測り方はATRを参照してください。

レンジ終了サイン

次のいずれかが出たら、レンジ逆張りを停止します。

  • M15 終値が 2 本連続でレンジ外に出る
  • H1 終値がレンジ外に出る
  • ブレイク後の押し戻しで、旧レジスタンスがサポート化する
  • ブレイク後の戻りで、旧サポートがレジスタンス化する
  • ボリンジャーバンドが拡大し、中央線に傾きが出る
  • %B > 1.0 または %B < 0.0 が連続する
  • ADX が 20 未満から 25 超へ上昇する
  • RSI が 70/30 で反転せず、強い側に張り付く
  • ロンドン勢またはNY勢の参加時間に入る
  • 米CPI、雇用統計、FOMC、日銀会合、財務省要人発言などのイベントが近い

レンジ終了後に最もやってはいけない行動は、抜けた方向に何度も逆張りすることです。 レンジブレイクは最初の 1 回で撤退し、再度レンジに戻った事実を確認するまで同じ箱を使いません。ブレイク側で順張りする手順はブレイクアウトを参照してください。

USD/JPY での使いどころ

USD/JPY は東京時間でも流動性があるため、レンジトレードの対象にしやすい通貨ペアです。 ただし、実需、金利、日銀、財務省、米金利の影響を強く受けます。テクニカルだけで完結させません。

実践的な監視ポイントは次のとおりです。

  • 前日高値/安値
  • 東京時間の始値
  • 仲値前後の高値/安値
  • 00 と 50 のラウンドナンバー
  • 4H のサポート/レジスタンス
  • 日足の大きな節目
  • 米10年金利の急変
  • 日銀、財務省関連ヘッドライン

東京時間の USD/JPY は、仲値後に落ち着くと往復しやすくなります。 一方で、ゴトー日の仲値前、ロンドン初動、米指標前はレンジが壊れやすくなります。USD/JPY を動かす要因は USD/JPY を動かす要因、当局の介入は為替介入を参照してください。

実践チェックリスト

エントリー前に確認します。

  • 水平線の上限、下限が明確か
  • 少なくとも上下どちらかに 2 回以上の反応があるか
  • レンジ幅が予定損切り幅の 2.5 倍以上あるか
  • ボリンジャーバンド中央線が横ばいか
  • %B が 0〜1 の範囲で往復しているか
  • RSI 70/30 が反転点と重なっているか
  • ADX < 20
  • 09:55、ロンドン入り、米指標が近くないか
  • 損切りをレンジ外に置けるか
  • 中央線までの利幅が十分か

1つでも欠けるなら、サイズを落とすか見送ります。

落とし穴

  • バンドタッチ単体で逆張りしない:上バンド到達は売り、下バンド到達は買い、とは限らない。強いトレンドではバンドに沿って走る
  • 終値のバンド外ブレイクを軽視しない:ボリンジャーバンド外の終値は、最初は反転ではなく継続として扱う
  • 東京仲値前を通常レンジとして扱わない:09:55 JST 前は実需フローで一方向に動くことがある
  • ロンドン初動で逆張りしない:16:00/17:00 JST 前後は東京レンジを抜きに来ることが多い
  • 狭すぎるレンジを取引しない:10 pips 程度の箱は、スプレッドとノイズで期待値が消えやすい
  • RSI 70/30 を絶対視しない:トレンド中の RSI は過熱圏に張り付く
  • 損切りを広げない:レンジ外に出た時点で、最初の仮説は崩れている
  • 再エントリーを急がない:ブレイク後に一度レンジ内へ戻っても、だましの再加速がある
  • イベント前に持ち越さない:米指標、FOMC、日銀、財務省発言はテクニカルの優位性を上書きする

参考